専門医からのメッセージ

「糖尿病網膜症で失明する人を一人でも減らしたい」

最終段階まで痛みなどの自覚症状なく進行する糖尿病網膜症
気づいた時には失明ということも
細胞がまだ若い30~50代の糖尿病患者さんでは、
網膜症の進行も速くなりがち
あなたの眼と生活を守るために
「糖尿病」と診断されたら、早目に眼科受診を

糖尿病によって高血糖状態が続くと、血管が傷んで詰まったり、病的なもろい血管ができたりして、もろい血管からは出血しやすくなります。特に眼底の網膜に張り巡らされている細い血管は傷みやすく、一度傷つくと元通りに戻すことはできません。網膜の血管にもろい血管ができて,そこから出血すると、突然ものが見えにくくなったり、何も見えなくなったりすることがあります。これが糖尿病網膜症の症状です。

糖尿病網膜症は、最終段階まで痛みなどの自覚症状がないことから、自分で病気に気づくことは難しく、「見えにくい」と感じた時には両眼共に病状が進行していたということも少なくありません。そして、ひとたび糖尿病網膜症になれば、これを元に戻すことはできません。特に、細胞の若い30~50代の患者さんでは糖尿病網膜症の進行も速くなりがちで、重症な糖尿病網膜症はこの年代の患者さんに多いと言われています。そのため、日本では50~60代の人の失明原因の第一位が糖尿病性網膜症となっているのです。視力などの視覚が障害されれば、仕事や日常生活に支障を来し、これまでどおりに生活することが難しくなってしまいます。

しかし、適切な治療を受ければ、糖尿病網膜症は進行を遅らせることはできますので、できるだけ早期に発見して、治療を受けることが肝心です。
そのためには、内科で糖尿病と診断されたら、すぐにも眼科に行きましょう。小さな出血等の糖尿病網膜症の初期症状は、眼科の専門医が診察しないとわかりません。眼の検査は、身体的に大きな負担になることはありません。視力検査を受けたり、眼科医が眼底を診たり、眼底の写真を撮影するといったもので、どれも痛みはなく、半日もあれば検査は終わります。

糖尿病網膜症から眼を守るためには、内科医の指示に従って食生活を見直したり、糖尿病治療薬を正しく服用して血糖のコントロールをすること。内科だけでなく、眼科も定期的に受診すること。そしてもう一つ、毎朝起きたときに片目ずつ物を見て、見えにくくなっていないかどうかをチェックすること。少しでも違和感があったときは、すぐに眼科に行きましょう。
また、糖尿病眼学会では、眼科医が患者さんの目の状態を把握し易くするための「糖尿病眼手帳」を発行していますので、かかりつけの眼科医に相談して是非活用してください。

「糖尿病網膜症で失明する人を一人でも減らしたい」それが私たち眼科医の願いです。

  • 名古屋市立大学 視覚科学 教授
  • 小椋祐一郎先生
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